令和6年4月に博士前期課程を設置します。
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皆様は、認知行動療法をご存知でしょうか。認知行動療法は、うつ病や不安障害の治療の第一選択とされる精神療法で、薬物療法に勝るとも劣らぬ効果を有することが医学的根拠(エビデンス)として、示されてきております。
千葉大学大学院医学研究院では、医育機関として、これまで135年以上の歴史の中で、高度な専門職業人としての医師の養成に実績をあげてまいりました。
2011年4月に、千葉大学大学院医学研究院に新設された「子どものこころの発達教育研究センター」は、高度な専門職業人としての子どものための「認知行動療法士」を養成するシステムづくりを研究することを目的としております。
「認知行動療法士」は、心の健康を担う新しい臨床免許となるでしょうから、最高学位である博士号を持った人がその免許を許されるべきと考えております。
成人だけではなく、児童思春期のうつや不安や摂食障害を患うお子さん方に、認知行動療法を提供できる専門家「認知行動療法士」をどのように養成していけばよいのか。
子どものこころの問題に取り組むことができる高度な専門職業人の養成は、文部科学省とともに、国立大学法人である千葉大学大学院医学研究院の、最高学府としての大学および大学院の至上課題の一つです。
一方、厚生労働省は2011年7月、がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病の四大疾病に、新たに精神疾患を加えて「五大疾病」とする方針を決めました。
精神疾患が、国民に広く関わる疾患として重点的な対策が必要と判断されたのです。
精神疾患の多くは、児童思春期に症状が始まっているものの、診療を受けるまでに数年を要してしまい、現実に診療を受けるのが成人してからになってしまっているというケースが大部分になっております。
たとえば、英国の強迫性障害に関する研究では、平均15歳で症状が始まり(早いお子さんは6歳頃から始まる場合もありますが)、平均20歳で仕事ができなくなったり、学校へ行けなくなったりする日常機能の障害までに至るのですが、その後、診療に至るのは平均26歳となっています。
子どものこころの発達・成長とともに、精神疾患の症状は現れ始めているわけですので、そこで見逃さずに、体の病気と同様に、心の病気に関しても、学校現場で、早期発見・早期介入していく体制づくりの研究を推進することが重要なのです。
その早期介入の方法として、最も期待を集めているのが、認知行動療法なのです。
英国の方法をモデルにした、大人の患者さんに認知行動療法を提供できる人材養成の本格的システムを、千葉大学では、日本で初めて、2010年4月から、千葉認知行動療法士トレーニングコースとして、開始しました。
そして、2011年4月から、この千葉大学大学院医学研究院子どものこころの発達研究センターにおいて、子どもの患者さんに認知行動療法を提供できる人材養成の本格なシステムの準備をしております。
続いて、2012年4月から、大阪大学、金沢大学、浜松医科大学、千葉大学、福井大学大学院連合小児発達学研究科の中に、千葉大学は、こころの認知行動科学講座(認知行動療法学研究領域・メンタルヘルス支援学研究領域・認知行動脳科学研究領域)を開講させていただく予定があり、そこで、学校現場や臨床現場で活躍する専門家・社会人のための大学院として、子どもの患者さんに認知行動療法を提供できる人材養成を推進していく予定です。
ただし、高度な専門家の人材養成は、心の健康を担う一人前の臨床家を育てあげるまで、一朝一夕にはならず、時間がかかるのも現実です。
その点にもご配慮いただきながら、今後とも、千葉大学での認知行動療法の人材養成研究に対して、末永く暖かいご支援をいただけますように、なにとぞよろしくお願い申し上げます。
千葉大学 子どものこころの発達教育研究センター
センター長 三木 隆司