保護者の方へ

なぜ『勇者の旅』が必要なのでしょうか?

『勇者の旅』プログラムでは、子どもの不安な気持ちが大きくなりすぎたり長く続いてしまったりしそうな時に、“どのように対処すれば良いのか”という知識とスキルを、認知行動療法の考え方に沿って学びます。授業で、不安の困りごとを小さくするための様々なワークに取り組むことを通して、子ども達の中に“不安の問題に自ら対処できる”という感覚が少しずつ育まれます。また、不安に向き合うための勇気と自信がつくことで、不登校やいじめなどの問題を防いだり不安症やうつ病などのこころの病気にかかりにくくなることが期待されます。

うちの子どもは“不安”とは無縁だと思いますが…。

元々の性格やおかれる環境等によって、不安を感じやすいお子さんと感じにくいお子さんがいます。しかし、『勇者の旅』プログラムは、不安を感じやすいお子さんのためだけに開発されたプログラムではありません。今は不安とは縁がないと思われるお子さんでも、将来、何かのきっかけ(ライフイベントや環境の変化など)で不安の問題が生じる可能性は、誰にでもあります。そのような時に、このプログラムで学んだ認知行動療法の知識や対処スキルが、きっと役に立つはずです。

『勇者の旅』を受けている間、親は何をすれば良いですか?

お子さんが不安なことに向き合ったり対処しようとしている様子が見られたら、是非温かく見守りながら応援していただきたいと思います。また、お子さんが嫌がらないようであれば、『勇者の旅』で学んだことをお子さん自身の言葉で話してもらいながら、ご家族そろって不安の問題への対処法についての理解を深めていただけたらと思います。
お子さんが自主トレ(宿題)に取り組んでいたり、『勇者の階段』を1段のぼることができた時などには、その努力と勇気をしっかりと褒めてあげてください。但し逆に、宿題をやらなかったり不安なことに挑戦しないからといって、それについて指摘したり強く促したりする必要はありません。

『勇者の旅』が終わった後に、家でできることはありますか?

『勇者の旅』プログラムは、1冊のワークブックにまとまっています。これを時々ふり返り、学んだことを思い出すことにより、プログラムの効果を、より長期的に維持させることができると考えられます。特に、お子さんが不安の問題に遭遇している様子がある場合には、「『勇者の旅』を復習してみたら?何かヒントが見つかるかもよ。」と、ひとことお声かけいただけたらと思います。

『勇者の旅』の予備的研究に参加された保護者の感想のご紹介

以下に、『勇者の旅』プログラムの予備的研究(Urao et al., 2016)に参加された保護者の感想をご紹介します。

  • プログラムを終了して、気がつくと、以前だったら不安なことがあると必ず体調不良を訴えていた娘が、全くといっていいほど、普通に元気で過ごしていました。私が忙しい日が続くと、すぐにさみしくて「頭痛」を訴えるのですが、彼女自身で自分の楽しみや世界を広げているようにも感じました。また、以前は私が洗い物をしている横で「ママ、早くベッドに来てね!早くね!待っているから」と泣きそうな顔をしながらしょんぼり寝室に行っていたのが、プログラムを開始した後あたりから、一人で自分の部屋に自ら挨拶して寝られるようになり、これには私も主人もびっくりしています。
    期間中はあまり気にもとめていませんでしたが、プログラムを終えてみると、成長したなと感心させられます。又、このプログラムは是非、保護者の受講も必要だと思います。(中略)親子でとても優しい気持ちになれる、そして元気になれるプログラムでした。
  • プログラム参加前は、ちょうどクラス替え後ということもあり、朝はつまらなそうな(かったるいというか)ネガティブな雰囲気を醸し出して登校していましたが、最近はそんな感じはなくなりました。聞くと「勇者の考えで階段が登れて達成感が得られた」そうです。(中略)とても自己肯定感を持ったようなので、参加して良かったです。個人的には、小中高とずっと授業に組み込まれているといいと思います。健全な心を保つのに、今の子ども達には必要なんじゃないでしょうか。
  • (プログラムに参加後)自分が不安を感じた時に、そこから抜け出せる術を身につけているように感じます。特に、人前に出て話す時には、呼吸法を実践しているようです。(中略)より広く知らせてほしいです。「またやってみたい」と本人も申しております。中学生・高校生にも有効だと思います。私もその頃うけてみたかったです。ありがとうございました。
  • プログラムに参加し、最上学年になった自覚や、様々な自信が出てきたようで、1年生のお世話を今まで以上にしたり、寝る時の電気も小さい電気で寝られるようになりました。
    これからの子ども達にとって、「心」を育てていくことが全ての土台になってくると思いますので、本当にいいプログラムに参加させていただき、感謝しております。これからもMPを見つけて、たくさんの発見を親子でしていきたいと思います。
  • MPを見つけるのが上手になったので、落ちこんだ気持ちを引きずる時間が短くなってきた。相変わらず不安は感じているけれど、自分が何に対して不安なのか、はっきり口に出して客観的に見つめることができるようになってきた。また、自分がどういうことでリラックスできるのか、どういうことで喜びを感じるのかが分かって、気分転換が上手になった。
  • 手を挙げて発表することが苦手でしたが、プログラムに参加するようになってから、少しずつ発表ができるようになったようです。(中略)特に苦手としていた人前での発表が、少しずつできるようになったことは、本人も自信が持てたようなので、大変感謝しております。ありがとうございました。
  • 毎回、帰ってくると「楽しかった」と言っていました。楽しく、不安なことに対処する力が身につけられるのは、とてもありがたく思います。スタッフの皆様、色々とありがとうございました。

研究の内容について詳しく教えて下さい。

研究の説明文書、同意文書については、コチラから閲覧とダウンロードが可能です。

  • 子どものこころの発達研究センター
  • 認知行動生理学
  • 千葉IAPT
  • 子どもみんなプロジェクト