UGSCD CHIBA UNIVERSITY

連合小児発達学研究科 千葉校
こころの認知行動科学講座

CONGNITIVE
BEHAVIORL
THERAPY

認知行動療法学研究領域

【認知行動療法学研究領域】

さまざまなメンタルヘルスの問題に対する精神医学的問題や心理社会学的問題に対する有効性が実証され、国際的に最も推奨されている心理療法として認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapy; CBT)があります。 しかしながら、この有効な治療法を実施できる治療者が我が国では圧倒的に不足しています。
千葉大学子どものこころの発達研究センターの認知行動療法学領域では、有効なCBTを実施できる治療者を養成する研修コースを2010年より設けています。 これは、CBTの先進国であるイギリスで作られたIAPT(Improving Access to Psychological Therapies)という、CBT治療者養成コースに倣ったもので、このChiba-IAPTは、CBT治療者の絶対的な不足の解消に貢献する全国でもまれなものです。 研究活動においては、当領域のスタッフおよび本コースの修了者が中心となり、児童期から成人まで、様々な疾患や問題へのCBTの効果研究を実証してきています。 以下に、当領域の主な研究活動についてご紹介します。

認知行動療法学研究領域では、さまざまな精神医学的・心理学的問題に対する実証試験を行っております。

   

■認知行動療法による自閉症者の自己理解プログラム(ACAT)の研究

自閉症の診断告知は自己理解(強みも含めて)やアイデンティの形成、適応感の向上、キャリア形成に役立つものですが、自閉症の理解がまだあまり本邦にないため、社会からも、自分自身でも、偏見をもってしまうことがあります。 このCBTは、自閉症の自己理解やポジティブなアイデンティティの構築・機能的対処方略の構築を最大限に引き出すプログラムとなります。
現在まで、児童思春期から成人期までのACATの臨床試験を継続して他大学とも共同で行っております。

■自閉症のメンタルヘルスに関する研究

自閉症の人がメンタルヘルスに問題を抱えると、生活の質(QOL)が低下する、機能レベルが低下する、メンタルヘルスの問題がさらに悪化する危険因子として作用する (例:ADHDからうつになる)、自閉症の人の高い死亡率に大きく寄与する、ということが欧米や日本の研究から分かっています。 そのため、当センターでは、自閉症の人のメンタルヘルスの向上のための様々な研究をなされています。 その一つに、自閉症の人を取り巻く偏見や差別(マイクロアグレッション)を変えていくための「オールマイノリティプロジェクト」があります。

■不安症に対する認知行動療法

成人の社交不安症の認知行動療法に、記憶の書き換えという技法を加えることによる治療効果についての検討をおこなっています。 また、不安症の人によっては、症状により外出ができにくい、あるいは仕事、学校や遠距離などの理由で医療機関を受診しにくい状況にあります。 この問題を解決するために、当研究領域では、テレビ会議システムを用いた遠隔認知行動療法の効果を検証しています。
不安症のひとつであるパニック症についても、オンラインでの認知行動療法のRCTによる効果研究を行っています。 引き続き、携帯アプリを用いたCBTプログラムの治療効果についての検討をおこなっています。

■強迫症

強迫症は、自分が汚れてしまったのではないか、誰かを知らないうちに傷つけてしまったのではないか、などの強迫観念と、それにより生じる不安を打ち消すために行う、過剰な手洗いや確認行為などの強迫行為のために、日常生活に大きな支障をきたす精神疾患です。 児童・思春期に発症することも多く、治療には認知行動療法が推奨されています。
近年では自閉スペクトラム症(autism spectrum disorder : ASD)の併存が多いことが注目されています。 そこで、これまでASD併存の有無に着目しながら、子どもの強迫症に対する認知行動療法の有効性を検討してきています。 現在は、認知行動療法を行う施設が近くになかったり、外出が困難であったりして対面での治療が困難なケースが多いことから、テレビ電話で行う認知行動療法の有効性についてRCT研究もおこなっています。 この両者の関係は脳画像的も検討していますが、当領域では症候学的にも検討して、併存例に対する有効な治療法の検討を成人例も含めて行っています。

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