研究概要
加速する高度情報化社会において、生物学的進化で発達した人間の脳が受け取ることができる情報量としては過多であり、情報過多がストレスともいえる状況になっており、メンタル不調を呈する現代人が増えています。 不安や悩みを感じた時に、ネット検索やSNSに答えを求めようとする現代人に対して、これまで存在していない、科学的根拠(エビデンス)に基づいたメンタル相談システムの存在は重要となっています。 特に、コロナ禍の中、フィジカル・ディスタンスが求められ、対面での相談が困難な現在、オンライン相談システムである本製品の社会革新性、公共性のイノベーションインパクトは大きいと言えます。
うつ・不安を未病の状態で改善しようとする経済的波及効果としては、うつ病の社会経済的損失が約2兆円、不安障害では約2.3兆円、統合失調症では約2.7兆円(佐渡ら、2014)とされており、これらの損失を減らせる可能性があります。
学術的波及効果としては、睡眠、人間関係の不安、ストレスから来る不安、孤独・孤立、依存、コミュニケーションの苦手感、居場所のなさ等の幅広い心理学的問題について、主観アウトカム・データベースの蓄積によって、個々人の状況にあわせて、最適解となるモジュールを組み合わせた相談支援を行う方法を明らかにすることが可能となり、心身の疾患を未病の状態で精神疾患の発症への進行を止め、心の健康づくりに有用なシステムに展開できます。
本研究開発は、成人から子どもまでの多様な心身の状態(主観アウトカム)を柔軟に把握し、データベース化し、セルフケアを提供できるオンラインメンタル相談支援システムを用いて、メンタル不調の未病の状態を改善できるように、テイラーメイドのモジュールを組み合わせた認知行動変容アプローチに基づくデジタルケア技術の効果検証と社会実装を日本全体の総合知を活用して進めることを目的としています。